小石原焼・高取焼と暮らす人々④
空間に溶け込み
料理に合う器たち

福岡県福岡市 杜ノ居 安藤浩彰さん・絵美子さん

閑静な住宅街ながら、木々や緑に囲まれた森の中にあるような一軒家。安藤さん夫婦はこの築70年の古民家に惚れ込んで、’16年にカフェと雑貨の店『杜ノ居』をオープン。家の雰囲気に合わせた店にしようと、提供する料理を決め、使う器にもこだわった。今お店で使っている器は、2人で九州の窯元をバイクで巡り、リュックいっぱいに背負って持ち帰ってきた思い入れのあるものばかりだ。

「器からお客さんと会話が生まれることもあります。小石原焼はみなさんも知っていて使うと喜ばれます」と絵美子さん。小石原焼は素朴なところと、料理に合わせて使いやすいサイズが揃っているところが魅力なのだとか。「定食を中心にした料理を出していますが、和食には土ものの器が合うし、手に持った感じが好きなんです。
同じものでも焼き具合によって一枚一枚表情が違うところもいいなと思います」と浩彰さん。

ふと見ると、欠けたお茶碗に庭の花や木々がちょこんと活けられていて、器を最後まで大切にしている2人の優しさが伝わってくるよう。そんな2人のほのぼのとした雰囲気と丁寧に作られる料理、それを引き立てる器たち。それらすべてが溶け合って、居心地のよい空間を生み出している。

◆ ABOUT - 杜ノ居(もりのい) - ◆

作務衣姿と割烹着姿が似合っているお二人。浩彰さんが食事、絵美子さんは焼き菓子を担当。店内には雑貨店「折節(おりふし)もある。

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