長い歴史の伝統と技を継承してきた小石原焼と高取焼。
この地で、職人が毎日たゆまない努力と研鑽により、職人から職人へと脈々と引き継がれ、伝統の技に新しい技を融合させ、現代の焼き物づくりに進化しています。
こうして作られた焼き物は、山から掘り出した土が、時間をかけて粘土となり、成形され焼き上がりやきものとなるまで多くの工程があります。職人たちが丁寧に、手仕事で美しく機能的な器を作り上げていく様子を、小石原焼と高取焼それぞれに、工程ごとに写真や映像でご紹介します。
生活雑器としての道を歩みながら、用と美を確立した小石原焼。
素朴で温かい持味を出す、飛び鉋、刷毛目、櫛目、指描、流し掛け、打掛けなどの技法が生きています。
多くの窯元は、そんな伝統の技を大切に受け継ぎながら、小石原焼の発展を願ってさらに新しい作風の確立をめざしています。
東峰村には髙取焼の技法を継承する窯元が数戸あり、「遠州髙取」の風格を今に伝え、「綺麗さび」の世界を展開しています。 精密な工程、華麗な釉薬、繊細な生地味。特に鉄・藁灰・木灰・長石を原料とし、微妙な調合で作られた釉薬を駆使して焼成される茶陶類は、気品に満ちあふれています。
焼物を作る土のことを「陶土」といいます。
小石原で採れる岩土は茶褐色や白褐色で、この岩土を陶土にするまでを"土づくり"といいます。昔は窯元各自で作っていた陶土も、現在では組合で一括して作っています。
初めにショベルカーでまとめて掘り出された土は、集積小屋に運ばれ、しばらく乾燥させます。その後、陶土粉砕機にかけられ、機械の力で細かく砕かれていきます。その機械が唐臼の役目をしています。
土の固さ、やわらかさを見たり、土の中の空気を抜いたり50回以上も捏ねていきます。
菊の花びらの形のように練っていく工程のため、"菊練り"と呼ばれています。
菊練りは土の中の空気を追い出し、粘りと硬さを出していきます。
ケヤキ材で造られた回転台「ロクロ」をまわして成形します。
大物を作る時の技法のひとつとして陶土を棒状に伸ばし、上に積み重ねていく練り付け手法などがあります。
「飛び鉋」、「櫛目」、「刷毛目」など小石原焼ならではの伝統的な手法があります。
鉄分の少ない白い色をした陶土のことを"化粧土"といいます。
部分的に白い土の層を取って水ごしして、化粧土にします。化粧土で皿の表面をむらなく掛け、化粧土を付けた皿にロクロを回しながら、様々な模様を付けていきます。
地元で採れる藁灰、木灰、長石等を配合した釉薬をかけていきます。ロクロをゆっくりと回転させながら釉薬などを等間隔に流していく「流し掛け」、釉薬を盃などに入れて少しずつ浴び掛ける「打ち掛け」等の手法があり、独特の風合いが持ち味です。
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時計のゼンマイから作られる湾曲した鉋を用いロクロを回転させながら施す技法
素地に白土を塗り、乾く前に櫛型の道具で模様を付ける技法
化粧土をかけて指で模様を付ける技法
素地に白土を塗り乾かし、道具で白土を掻いて模様を入れる技法
ヘラなどの道具を使い素地を削って稜線のような文様を入れる技法
掛け分けの技法で三つの色味で構成される物を三彩と言う
チューブ型やスポイト型の筒の中に泥漿(でいしょう)を入れて絞り出し、装飾する技法
作品の表面に釉薬などを等間隔で流し掛ける方法
刷毛をあて線を描いていく技法当て方で細かい線や太い線が出ます
釉薬を打ち付けるように少しずつ浴び掛ける技法
先の尖った道具を使い線状に彫って模様を付けていく技法
陶磁器の表面を削って多面体にする技法
素地に彫る・削る等の加飾を行いへこみの部分に異なる色の土を入れ模様を際立たせる技法
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磁器のように器の厚みが薄い作りのこと
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遠州切り形によるもので 茶碗の腰部分の角を幅広に削る技法
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成型後に押してへこませる技法。押された部分が正面となる
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成形後に切って重ね合わせて綴じる技法
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櫛型の道具で表面に模様を付けていく技法
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成形後に刃物で様々な模様を彫る技法
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色の違う釉薬を掛け分ける技法
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高取焼【七色ぐすり】の一色を全体に掛け、焼成後の景色を予測し柄杓で更に別の釉薬を流し掛ける技法
施釉とは釉薬(陶磁器の表面に付着したガラスの層のこと。うわぐすりとも言う)を掛けること。焼成に至るまでの最後の工程です。
釉薬は桶のような容器で調合を行い保存され、施釉方法としては画像のように道具を使い挟んで浸けたり、手で持って浸けたり、柄杓を使って掛けるなど、方法は色々とあります。
釉薬は本焼きの際、高温で溶けて陶磁器の表面でガラス質になります。登り窯やガス窯を使って焼成します。登り窯では、まず焚き口という窯の先頭にある部分に火を入れ、およそ半日(13〜14時間程度)で1000度に達したら、横焚きの行程に入ります。火入れからおおよそ30時間程窯で焼いていきます。
焼き上がったら数日かけて窯を冷やし、窯出しを行います。